「それにつけても」記憶術

  • 2024.03.10 Sunday
  • 18:07

新聞記事より。

 

《「それにつけても」記憶術》

 

『 駅のホームの自販機で缶コーヒーを買う。ポケットから交通系カードを取り

 出し読み取り機にタッチすると、ゴトリと音を立てて缶コーヒーが落ちてくる。

 そしてふとカードを見て「あー、またやった」と顔をしかめる。私用のカード

 と間違えて、会社から支給される仕事用交通系カードを使ってしまったのであ

 る。

  これをやると後が面倒だ。仕事で移動する交通費は、交通系カードを各自で

 チャージし、その領収書と印字した交通機関利用履歴を添付して精算するのだ

 が、その際「誤って物品購入した○○円を差し引く」と付記しなければならな

 い。この作業を忘れると経理担当者から「利用履歴の【物販】は何ですか」と

 電話がかかってくる。

  「すみません、うっかりしてました」と平謝りで訂正することになる。つま

 り民間企業では、缶コーヒー代130円でさえ私的流用ができない仕組みにな

 っているのだ。

  私がどうして社内の経費精算システムについてくどくどと書いているのか、

 読者はもうお分かりだろう。「それにつけてもあの議員たちは・・・」と言い

 たいのである。

 

  自民党の派閥パーティーを巡る裏金事件に関し、国会では政治倫理審査会が

 開かれた。多額の還流を受けていた派閥幹部らが出席したが、肝心なところは

 さっぱり分からない。不明な点の一つは「裏金を何に使ったか」である。

  議員らは「政治活動費として認められる使途に充てた。私的使用はない」と

 口をそろえるが、まっとうな政治活動費として使うのならなぜ裏金にする必要

 があったのか。

  「私的使用はない。信じてほしい」などと言われたところで、使途を示す領

 収書ぐらいは提示してもらわなければ信じられるはずがない。

  裏金の還流を受けていた議員らが今になって政治資金収支報告書を訂正して

 いる。支出で「使途不明」が多いことに驚く。裏金が私的に使用されれば雑所

 得となり課税対象のはずだが、「使途不明」で済ますつもりなのだろうか。

  繰り返すが、民間企業では130円の缶コーヒー代も優秀な経理担当者にチ

 ェックされる。まったくもって「それにつけても・・・」である。

 

  私の経験から言えば、政治家というのは選挙で落ちない限り心から反省する

 ということはない。裏金議員たちは今でこそ反省の言葉を口にするが、裏金の

 使途と同様に、その反省も「自己申告」に過ぎない。彼らに確実に反省させる

 ためには、次の選挙で裏金問題を争点にして、少なくとも落選の恐怖を味わわ

 せることが不可欠だ。

  自民党は裏金問題のほとぼりが冷めるのを見極めて総選挙に打って出るとみ

 られる。「有権者の怒りなど、そう長くは続かない」と高をくくっているので

 はないか。

  そこで私はある記憶術を提案したい。先ほどから使っている「それにつけて

 も」をキーワードにする方法である。

  それぞれが身の回りのいろんなことを裏金問題を思い出すスイッチにする。

 経費精算、納税、家計簿付けのレシート整理など、こまごまとしたお金の取り

 扱いをきっかけに「それにつけてもあの議員たちは・・・」と日々、記憶を定

 着させ怒りを新たにするのだ。

  私は駅で缶コーヒーを買うたび、「それにつけても・・・」とつなげること

 にする。とりあえず次の選挙までは。』

 

「それにつけてもあの議員たちは・・・」 有権者全員で実践しましょう!

 

 

 

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